選択肢がありすぎるとどうなる!?

「この中からイメージに近いものを10個選んでください。」

以前はロゴデザインを提案するときに、お客様が求めるイメージを探るため、とりあえずたくさんのデザインをサンプルとして作成していました。

あまりにも膨大な数のロゴデザインを見せられて、今となって考えれば、お客様はずいぶん困惑したことでしょう。

私は、おしゃれなカフェに行った際、レジで注文をするときに、コーヒーの種類があまりにも多すぎて決めきれず、後ろに並んでいる人たちの圧力に負け、結局スタンダードな「本日のコーヒーお願いします」と言ってしまうことがよくあります。いつもと違ったおしゃれなトッピングの甘ったるいドリンクを求めてやってきたはずなのに、なぜ普通のコーヒーを飲んでいるのだろう…となんとなく後悔してしまうのです。

人はなぜ選択肢が多くなると心の負担を感じ、あまり嬉しくない感情を抱えてしまうのでしょうか。今回はデザインサンプルを提示するときに、選択肢が多いことでお客様が感じる心の負担について考えてみました。

決断の難しさ

選択肢が多いと、どれを選べば良いのか迷ってしまい、決断が難しくなります。これは「決定の麻痺」とも呼ばれ、たくさんの選択肢を前にすると、比較する情報が増えすぎてしまい、どれが最適な選択なのかを判断するのが難しくなるためです。お客様はそれぞれのデザインの良い点や悪い点を考え過ぎしまい、結局どれも選べないという状態に陥ることがあります

後悔の可能性

多くの選択肢があると、選んだ後に他の選択肢について後悔する可能性が高まります。お客様は「他のデザインの方が良かったかもしれない」という気持ちを持つことが多く、最終的な選択に対する満足感が減少します。この後悔の感情は、「他の選択肢の方が成功したのではないか」という不安を生み、選択への確信を持つことが難しくなります。

自己責任感の増大

選択肢が多いと、最終的な決断の責任がすべてお客様自身にかかります。選んだデザインが期待通りでなかった場合、その責任を重く感じ、自己批判に陥りやすくなります。これにより、お客様はストレスや不安を感じやすくなり、心理的な負担が増大します。お客様は、自分の選択がビジネスに与える影響を考えることでプレッシャーを感じ、その結果、決断を先延ばしにすることもあります。

このように、選択肢が多すぎるとお客様の心に負担がかかることがあります。そのため、デザインを提案する際には、適度な数のサンプルを提示し、各デザインの特徴やメリットを明確に説明することで、お客様がスムーズに選択できるようにすることが大切なんですね。

以前ロゴデザインを納品したお客様に感想を求めると、「1つだけ悪い点を挙げるとすればサンプルの数が多すぎて選ぶのに疲れてしまったこと。」とご指摘を受けたのです。その時からはっ!と気づき、お客様にデザイン案を提示するときは3つに絞り込んでしっかりとその思いを伝えるようにしました。

選択肢があると言う事は良いことなのですが、人はあまりにその数が多すぎると心の負担を感じ、結局は選べなくなってしまうのですね。

お客様に喜んでいただきたい一心でたくさんのサンプルを作ってしまいますが、すべてをお見せしたいと言う願望をぐっと抑えて、よりすぐりの3点をしっかり見ていただくようにしていこうと思います。